下中記念財団新DVDシリーズ
重要無形文化財 雅楽 宮内庁式部職楽部
第2巻:
国風歌舞(くにぶりのうたまい) 「東遊」 「久米舞」
催馬楽(さいばら) 「伊勢海(いせのうみ)」 「更衣(ころもがえ)」
朗詠(ろうえい) 「嘉辰(かしん)」 「紅葉(こうよう)」
第2巻は、雅楽における声楽をまとめています。
東遊
雅楽には大陸から渡来した楽舞だけでなく、国風歌舞(くにぶりのうたまい)と呼ばれる日本古来の祭式芸能や
氏族伝承の歌舞の流れを受け継ぐ演目があります。これらは声楽を伴っています。
中管と篳篥の奏者
東遊は、六絃の和琴(わごん)、中管(ちゅうかん)、篳篥(ひちりき)の伴奏で、笏拍子(しゃくびょうし)を
持った句頭(くとう)と数名の付歌(つけうた)が古代東国の風俗歌の面影を残す「一歌」「二歌」を唱和します。
和琴を支え持つ琴持(こともち)二人も唱和に加わります。大らかな歌声のなか、舞人(まいにん)が神前に進み
「駿河舞(するがまい)」「求子舞(もとめごのまい)」を奉納します。
神事としての「東遊」は由緒ある神社に伝承されていますが、宮内庁式部職楽部の「東遊」は、宮中祭儀に奏され
るほかは、あまり公開の機会が少なく、映像による一具すべての省略なしの克明な記録化は、これが初めてです。
(37分)
久米舞
現行の「久米舞」は江戸時代に再興されました。建国神話に由来する古い芸能の面影を伝えています。元来、天皇
即位の祭儀、大嘗祭(だいじょうさい)や、紀元節に奏されていましたが、戦後、紀元節の廃止に伴い、宮内庁楽部
では、演奏の機会が失われました。元号が平成に替わり復活し、映像による記録化も、初めて実現しました。
和琴は二人の琴持ちが支え句頭が笏拍子を打ちつつ歌方をリードします。
「東遊」と「久米舞」の二演目を完全収録することにより、国風歌舞の多彩な内容を鑑賞していただけるように工夫
を凝らしました。短い音取に続き、句頭が笏拍子を打ちつつ久米歌(くめうた)を唱いはじめます。「久米歌」の歌詞
は、倭王権の軍事集団、久米部伝承歌謡に由来し、神武天皇の大和平定を祝した歌ともいわれています。和琴・龍笛
(りゅうてき)・篳篥の演奏にあわせ、数人の付歌が加わり唱和する一方、四名の舞人が進み出て「久米舞」を舞い
ます。和琴が響くなか、太刀を抜き一斉に敵を切り伏せる所作も見られます。
(20分)
催馬楽は、平安時代に新たに作られた声楽で、当時の民謡や風俗歌の歌詞を外来の雅楽風の旋律にのせたものです。
笙・篳篥・龍笛・楽箏・楽琵琶という管絃に用いられる楽器によって伴奏されます。催馬楽は室町期には衰退しました
が、古楽譜に基づいて17世紀に再興されました。(19分)
句頭が空拍子を打って催馬楽が始まります。
打ちものの奏者も付歌にまわります。
雅楽の一種目としての朗詠は、漢詩にフシをつけて朗誦するものです。嘉辰が例外的に音読するほかは、紅葉など
いずれの曲も訓読で歌われ、伴奏楽器には笙・篳篥・龍笛が用いられます。朗詠は催馬楽と異なり拍節が無く、ゆる
やかに流れる雅びやかなフシが特徴的です。
(16分)
朗詠
紅葉では、漢詩を三つの部分に分け、その句頭を、独唱した後、他の者が斉唱で続きます。伴奏(付物)は、笙・篳篥
・笛の三人だけです。演奏の実質的な指揮者である鞨鼓も、ここでは、斉唱者たちの一人です。
朗詠
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掲載開始: 2007.09.19. 最終更新: 2012.09.26.
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